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“ZOOM”とは画家、佐野凜由輔が柔軟に作品制作を行えるよう自身で確立したコンセプト、あるいはテーマです。
その概念は、佐野作品を読み解く上でとても重要になります。
彼の経験や記憶、脳裏に蓄積されてきたアーカイブを素地にして、キャンバスへ放出している挙動、それを指し示しています。
本人が言うには、現在の情報過多の環境において「積み上げられた多くの事柄を、自分地点から解釈し直す」ことだと。
コンテンポラリーアートを通した視覚的実験とも言えるかもしれません。
本展覧会では重点的に「構図、余白へのZOOM」です。
モチーフをスクラップ・アンド・ビルドしながら描き上げる、正統な構図、基軸や中心をあえて欠いた作風は、
鑑賞者の感情や想像力、そして、認識さえ動揺させます。
規則性のない表現方法にはフィギュラティブとアブストラクト、ドローイングとペインティングが共存しており、時に色彩の層を重ね、
時に主題の具象をバラし、時に抽象をも白に消し去り……レイヤーを成すことで、
観る者個々の視点、捉え方によって作品が幾層にも変化しながらも、多角的に理解可能な要素として配置されています。
美術を独学した佐野は特定の様式や手法に偏らず、調和・均衡を崩して、作品にシリアスな緊張感を与えます。
大胆な彩色がインパクトを担っていますが、一方でトーンを落とした色味との両方を使い、鮮やかな空間に余白を譲ることもあります。
それは、各素材の自立性を際立たせ、維持させつつ、包括的なまとまりをもたらせたいためです。
作品との距離感を保ち、間遠(まどお)で鑑賞すれば風景画や抽象画に見え、かたや踏み込んで間近(まぢか)に観ると一気に具象性を帯びる。
そんなマクロとミクロが作用し合う構成こそが、佐野凜由輔らしい描写だと説明付けられます。
多くのイメージが積み重ねられ、多種多様な解釈が可能な佐野凜由輔の作品は、観る者へ押し迫ってきたり、
時には引き込もうとしたりと、体ごと飲み込まれるように、私たちは実感を持ってZOOMに対峙させられるのです。
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Photos by Masahiro Yamamoto
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初の作品集 『Ryusuke Sano; Works of Art – 佐野凜由輔画集』 を個展開催に合わせ刊行いたします。
素描が作品として題される以前とそれからの現在、そしてワークライフまでをコンパイル。
表紙を含めた総ページ数は196P。そのボリューム感をあえて綴じていないスクラム製本はノンブルをも入れず、
スプレッドなアートピースとして飾ることを想定いたしました。
佐野の手法である解体・再構築のそのままを、それぞれで楽しんでいただけます。
なお、スケッチを同梱したスペシャルエディションは30部、ドリッピングエディションは100部限定、
すべてサインとナンバリング入りとなります。
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* スペシャルエディションは30部限定 / 個展会場販売のみ
* ドリッピングエディションは100部限定 / オンライン販売のみ
http://ryusukesano-worksofart.com/
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Photos by Masahiro Yamamoto, Genki Arata
Information
ZOOOOOOM /
“構図、余白へのZOOM”
RYUSUKE SANO
2022.7.2 sat – 2022.7.23 sat
12:00 pm – 18:00 pm
Sundays, Mondays and 7.21 thu